根菜の日常と非日常

根菜(特に大根)好きな管理人が、田舎に移住して出会う日常と非日常を綴る

ご存知でしょうか、九州と一軒家の寒さを

寒い・・・死ぬほど寒い。

 

世の中には「寒い」のが得意な選手、「暖かい」のが得意な選手がいると思う。

僕は圧倒的に「暖かい」のが得意な選手だ。

 

最近はめっぽう寒くなった。

近くの山は初冠雪したそうだ。

 

一年半前に九州へ移住をしてきたのだが、皆さん九州にどんなイメージを持っているだろうか。

「酒が強い」「豚骨ラーメン」「くまモン」「ソフトバンクホークス」「博多華丸大吉」・・・。

 

 

名古屋出身の僕の安直なイメージでは

1.「暖かい」

2.「地震がない」

だった。

 

しかし、博多華丸大吉先生は言っていたのだ

「東京と福岡は緯度変わらないから」

 

そうなのだ。

福岡よりは下の方だが、ここは九州でも寒いのだ。

 

そして、僕はもう一つ重大な事実を見逃していた。

皆さん、この事実をご存じだろうか?

 

「一軒家は寒い」

 

そう、僕は一軒家チェリーだったのだ。

 

今住んでいる家は、築32年の古すぎず新しくもない一軒家だ。

間取りは一部屋6畳から8畳の5LDKで駐車場2台小さい庭付きで家賃5万円。

安い、とんでもなく安い。

名古屋に住んでいた時は、1か月の駐車場代で1.5万円だった。

 

しかし、この家は築年数では語れない古さがある。

まず、簡易水洗。つまりはボットンに流しがついているようなもの。

そして、立て付けが非常に悪い。障子ふすまが閉まらない。

立て付けは関係ないが、玄関の鍵も相手の気分次第で開かなくなる。

 

極めつけは、カナブンだ。カナブン・・・そう緑色の甲虫。

奴が毎晩訪れる。どこから?分からない。彼はどこからかやってきては夜な夜な家の中を飛び回る。恐ろしい羽音で。

 

ところが非情にも我が家には、生粋のハンターがいる。

そう、庭で拾った白猫「めんま」である。

 

彼女は、彼女だけはカナブンの出所を知っている。

なぜなら、カナブンの羽音と彼女の駆け出す音はいつもニコイチだから。

 

彼女は逃げ惑うカナブンに容赦のない一撃を見舞う。

その一撃は、厳しい一撃であると同時に慈愛に満ちた一撃である。

カナブンは、一撃を食らうとヨロヨロと地面へ墜落し、鈍足な脚で地べたを這いずる。その姿をめんま尊いものでも見るかのように見つめる。そして、自分から必死に遠ざかろうとするカナブンをある程度まで泳がせてから自分の元へ引き寄せる、を繰り返す。寄せては返す波のように。執拗に、何度も何度も・・・・。

 

堅い装甲が仇となり、カナブンは長い時間痛めつけられる。

妻が僕に言う「そろそろやめさせてよ、かわいそう」と。

しかし、妻自身が動くことはない。カナブンを自らの手で救うことは絶対にしない。

理想と現実を天秤にかけた結果が、今の惨状を生んでいるのだ。

 

僕が仕方なくカナブンを救出に向かうと、ハンターはいち早くその動向をキャッチする。

すると、彼女は「これはあたしの獲物よ」とでも言わんばかりのキメ顔でカナブンを咥え、狂ったように走り出す。僕は追いかける。逃げられる。追いかける。家が広い。

 

彼女は、とうとう部屋の一室に追いつめられる。

僕は言う「その子を離すんだ」

彼女は言う「にゃー」

 

と同時に、口から獲物が落ちる。

コトッ、と穀物が床に落ちたような音が響いた瞬間、彼女はもう一度獲物を咥えてから

強く、強く口を閉じた。

 

「カキャッ、ガリ…」

 

聞いたこともない音が部屋に響く。

例えようのない音である。

だから、新しい音の例に加えた方がいいと思う。

 

「カナブンが猫にかみ砕かれた音」

 

何の話しだったか。

そう、一軒家は寒い。だ。

ちなみに、エメラルドではなくブラックダイヤの場合は事態を窮するが、結末は大体いつも同じだ。

 

 

ずっとマンションで暮らしてきた僕にとって、一軒家での日常は時に非日常である。

しかし、これがまたたまらなく楽しいのである。

 

 

写真は、寒くなる前に撮った車で10分の山と車で5分の海。

 

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